数年前まで、根室駅前に「わたなべ」という食堂があった。
ラーメンと各種丼ものという分かりやすいメニューだった。
ラーメンは塩味風のあっさりスープで、細麺。
極めてシンプルなラーメンだったが、ワシは根室に行くたびに食べていた。
今は、釧路ラーメンなどと称しているが、昔から根室でラーメンといえば、ここのラーメンの味が普通だった。(ただし、浅草軒は独特の醤油味)
「わたなべ」はワシが根室に住んでいた子どもの頃から着物に割烹着というスタイルの初老の女性がやっていた。
何年経とうが、店も味も、その女性の姿も変わらなかった。
しかし、あるとき行ったら、店が閉まっていた。
たぶん、ここは年中無休だったはず。
しばらくして、また行ってみたが、やはり閉まっていた。
そのとき、「わたなべ」が営業を止めたことを悟った。
思えば、女性店主は相当な年齢になっていたはずだ。
あのラーメンが懐かしい。